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第10話:危ない!
イラスト:わたなべふみこ
 
 
  ツピちゃん達が飛び回っていると、久しぶりにジージーに会いました。
「あ、ジージーだ。」
ジージーは、ツピちゃん達に気がついていいました。
「誰が、じじぃなんだ。わしはこれでも3才になったばかりだぞ。」
「だって、話方が、おじいさんみたいなんだもの。」
「ほっといてくれ。」ジージーは憮然としました。
「そうだ、ジージーは、もの知りだから。」とツピちゃんはいいました。
「僕、夢の中で、光り輝く羽をもつ美しい鳥を見たんだ。その鳥に会いたいと
思っているんだけど、どこに行けば会えるのかな。」
「光り輝く鳥? 光沢のある羽という意味かの。何色じゃ」と、ジージーは
ききました。
「う~ん」ツピちゃんは、悩みながらいいました。「何ていうのかな。
虹の色のように見えたし、太陽の光りのようだった。でも、ある時は、
月の光りのように銀色に見えた。とにかく、光沢があるというような
感じではなく、羽根そのものが光りを発しているようだったよ。」
「ばかもん。」ジージーはいいました。「そんな、羽根を持つ鳥はおらん。」
「でも、会いに行きたいんだ。」
ジージーは、しばらく考えてからいいました。
「まあ、わしも、まだ、3年しか生きていないからん。世の中のことを
全て知っているわけではないしな。どっちにしても、もっと知識のあるものに
聞いてみるのがよかろう。」
「そういうこと知ってそうなの、誰か知っている?」ツピちゃんは聞きました。
「うむ、村の神社を住みかとしている年取ったカラスが物知りだというが、
わしらは、へたに話しかけると襲われてしまうからな。そうだ、異国へ旅する
鳥を探してみるのはどうだ。とりあえず、ツバメ達なら、まだ、いるだろう。
そろそろ、旅立つかもしれないから、急いだ方がよかろう。でも、彼らは
わざわざ、人という生き物が住んでいる場所に巣を作っているから、気を
つけるんだぞ。」
「ジージー、ありがとう。」ツピちゃんはいいました。「じゃ、ツバメを
探しに行こう。」
「だから、わしは、じじぃではない。わしの名前は...」
ツピちゃんは、ジージーの言葉を最後まで聞かずに飛び立ちました。
弟たちも、ツピちゃんがすっとんでいったので、あわてて追っかけました。

ツバメは、主に人家の軒先などに巣を作っているので、ツピちゃん達は、
注意しなが探しました。でも、今年は、なんだか、ひなが成長し、巣立ったのが
早かったせいか、空の巣が多かったです。
「もう無理かな。」
あきらめかけた時、どこからか、ツバメの声が聞こえてきました。
「あっちの方にいるみたい。」
ツピちゃんは、声の聞こえる方へ向かいました。
「お兄ちゃん、待ってよ。」弟達は、追いました。

ツバメが2羽、鳴きながら飛び回ってました。
「ツバメさん、こんにちは。お話したいんだけど。」ツピちゃんは
門柱に止まりました。
「シジュウカラさん、逃げて、そこは危ない。」ツバメたちは叫びました。
「え、」ツピちゃんは返事をする間もまく、翼に痛みが走ると
なんだか、ぶらさげられて、下の方へ急降下しました。
あまりの痛さに意識が失う寸前、自分は、猫という動物に捕まったということに
気がつきました。